一條裕子の目録

単行本目録目次


阿房列車

なんにも用事がないけれど、汽車に乗っては出かけていく、内田百間の物語。 『阿房列車』の漫画化です。

道子のほざき

リストラされた父親が、娘道子と麻雀の教えによって人生を立て直そうとする物語。だと思う。 大方の予想通り、著者は麻雀を知らない。

貂の家。

父・貂アキマサは、昔、人間と暮らしていたのが自慢だ。貂として初めて一戸建ての家を構え、文化的生活を始めたのが自慢だ。そして、家庭を築いた最初の貂なのが自慢だ。そんな貂一家の物語。

貂社会ワンポイント:貂は通常、単体で暮らしているらしいです。

金子の部屋

「箱男」金子義治(49)が、箱から出てきて社会復帰するまでの物語。だと思う。

スワンパン

街の平和を守るため、「そろばんレンジャー」への道を志した少年の物語。かもしれない。 ちなみにタイトルの「スワンパン」は「算盤」の中国語読み、らしい。

なお、この作品はフィクションであり、実在する人物・団体とは一切関係ありません。 ひょっとすると、実在する計算器具「そろばん」とも関係がないかもしれません。

すてきな奥さん

人間には二種類いる。人の上に立つ者と、そうでない者。 明らかに後者である私は、「課長」がいたらいいな、と思う。 原稿に判子を付いてくれたらいいな、と思う。 「上の者と相談してみます」と言えたらいいな、と思う。 ヒマなときには、課長に OA 機器の使い方を教えてあげたりもしてみたいな、と思う。 妄想の中に住んでいる課長はいつもステキ、という「ごっこ遊び」の物語。

必ずお読みください。

「取扱説明書」を軽んじる人は多い。 しかし、いっぺんでも何かについて他人に説明したことのある人なら、「説明する」ということにどれだけの労力が必要か知っているはずだ。 もっと真面目に取扱説明書を読みましょう。 但し、せっかく簡潔に書かれた説明から、不必要に行間を読み取ってはいけません、という物語。だと思う。

犬あそび

犬が飼いたい。でも飼わない。 「今住んでるマンションは動物不可だから」なんていうのは全くの言い訳で、本当はただ、自信がないのだ。 子供の頃飼っていた "たろさん" に、自分がどんな仕打ちをしたか、よく知っているから。 たろさんは何でも許してくれたけど、あんな子はそうはいない。

それでも、それでも、それでも! 犬が欲しい!! 犬が欲しい!! 私のステキなワンワンが欲しい!! と魂の叫びを上げる物語。

2組のお友達。

つくづく学校というのは、子供の私に与えておくにはもったいない場だったと思うのです。正に、猫に小判。 今通えば、もっと貪欲に有効利用してやれるのにと思うと、己の恵まれた環境に気付きもせず、のうのうと寝て過ごしていたニ十数年前の自分を目の前に正座させて、こんこんと説教をくれてやりたくなるのです。馬の耳に念仏。

過疎地の小学校に元気に通う老人達と、困惑する教師と子供の物語。

静かの海

百年使うと物にも魂が宿り、夜な夜なヒソヒソ話をする。 だから、百年使って妖怪に化ける前に、「煤払い」と言って古い道具を捨てちゃうわけなんだけど、捨てられたら捨てられた恨みでやっぱり化ける。 というのが、私の知っている付喪神(または九十九神)のお話。結局、どうすりゃ彼らに納得してもらえるのでしょう。

独居老人の家で、古びた「物」たちがブツブツと文句を言っている、せっかくの全ページフルカラーを「こんなはずじゃなかった」と惜しみながらも、煤けた色で埋め尽くした物語。

末広町35番地

まだ幼稚園に通っていた私が『泣いた赤鬼』に泣いたのは、青鬼の仕打ちがあんまりだと思ったからだ。 あんな形で村を離れたら、赤鬼がどんな気分になるか、青鬼には解らなかったんだろうか。 「その場から消える」なんて解決法は、残る者を責める常套手段じゃないか。 青鬼の計画にのった赤鬼の軽率は、こんな責めを負うような罪だったんだろうか。

あの頃の私は、それを巧く言葉にあらわすことが出来なかったけれど、どうしても、二人を再会させてやらずにはいられなかったのです。 古今東西の童話に、意趣返しを目論んだ物語。だと思う。

わさび

「小原ふみ」がお手伝いとして入った帯刀家は、ほんの少しだけ風変わりな一家だった。 彼女は、「帯刀家の常識」に絡め取られてしまうことなく、無事、同家を脱出することがきるのか。 というスリルとサスペンスの物語。だと思う。