一條裕子の目録

作品使用について目次


Web での作品使用について

以下は、「一條裕子が紙媒体で発表した作品を Web で使用する場合」についての見解であり、「漫画作品一般の扱い」について述べたものではありません。 ご留意ください。

この文書は 2005/01/25(Tue) 時点のものです。今後変更される可能性があります。

引用について。

一作品について数コマ程度のスキャン画像の使用は、その必然性があれば「引用」と見做します。 著作権法32条の「引用」の規定に従って使用してください。その際、連絡などの必要はありません。 台詞などのテキスト部分についても、同様に「引用」の範囲内で使用することができます。

スキャナーなどで取り込んだ画像は、縦横比を保った縮小拡大、明度や色相の調整程度であれば、加工して構いません。

第五款 著作権の制限 (引用) 第三十二条
公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

著作権法 第三十二条 http://www.cric.or.jp/db/article/a1.html#032

公正な慣行」「引用の目的上正当な範囲」については、以下を参照してください。

他人の著作物を自分の著作物の中に取り込む場合,すなわち引用を行う場合,一般的には,以下の事項に注意しなければなりません。

(参照:最判昭和55年3月28日 「パロディー事件」)

文化庁 著作権精度の概要 http://www.bunka.go.jp/8/2/VIII-2-C.html#3

なお HTML では、<blockquote> または <q> 要素としてマークアップすることで、引用部分を明示することが出来ます。 cite 属性、または <cite> 要素で URI や出典を明記してください。

引用マークアップの例

<blockquote cite="urn:ISBN:4838713703"
title="『必ずお読みください』 5.破損・変形したままで使用しないで下さい。">
    <p><img src="sample.jpg" alt="引用画像"
       title="『必ずお読みください』 5.破損・変形したままで使用しないで下さい。"><p>
    <p>「ま…まさか破損したのか…?」</p>
</blockquote>
<p><cite>マガジンハウス刊 一條裕子著『必ずお読みください』161p より</cite></p>

引用画像

「ま…まさか破損したのか…?」

マガジンハウス刊 一條裕子著『必ずお読みください』161p より

模写・似顔絵などについて。

著作権法上、「模写」「キャラクターの似顔絵」は「複製」に当たります。 「複製」は、著作者がその権利を占有するとされていますが、漫画作品のコマ単位での模写・キャラクターの似顔絵などは、以下の条件を満たす限り、Web で公開することを認めます。 公開に際しても、特に連絡の必要はありません。

  1. 元の作品名・元著者名に加え、模写・似顔絵であることを適切な方法で明記すること。
  2. 複製物の制作者本人が管理する Webサーバスペース内において公開すること(第三者が管理するサイト・画像掲示板への投稿や画像提供などは不可とします)。
  3. 装飾用など、いわゆる「Web 素材」として使用しないこと。また、「サイトのシンボルマーク」と解釈される使用をしないこと。
第二条 (定義) 十五 複製
複製 印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することをいい、次に掲げるものについては、それぞれ次に掲げる行為を含むものとする。

著作権法 第二条一項十五号 http://www.cric.or.jp/db/article/a1.html#002

第三款 著作権に含まれる権利の種類 (複製権) 第二十一条
著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。

著作権法 第二十一条 http://www.cric.or.jp/db/article/a1.html#021

(ア)現行法上の複製概念

著作権法は、第2条第1項第15号において、複製について「印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製すること」をいうと定義している。 (後略)

「その他の方法により有形的に再製する」行為に該当する行為は、手写、模写、点字等であるが、著作物の利用方法が新たに開発されるときは、この内容もまた拡大する。

著作権審議会報告書 http://www.cric.or.jp/houkoku/s48_6/s48_6_main.html#2_2a

上記最高裁判決も「複製というためには、第三者の作品が漫画の特定の画面に描かれた登場人物の絵と細部まで一致することを要するものではなく、その特徴から当該登場人物を描いたものであることを知り得るものであれば足りる」と述べているので、具体的表現を離れた「キャラクター」を著作物と認めた場合と比べ、実際上大差はなさそうだ。

結局、特定のコマの絵をコピーした場合だけでなく、複数のコマの絵によるイメージを表現した場合も複製にあたり、著作権侵害になることに違いはないといえよう。

ウェブページでのキャラクターの盗用と著作権 http://www.houtal.com/journal/report/chizai/000801_3.html

その他の注意。